「……はぁ。俺も四児の父かぁ」
「あ、あの子たちのこと?ふーん。なんかキモい」
「こら。神様の幼生だぞ。キモいとか言わない」
「いや、この子たちじゃなくて、ヴェスナーちゃんが」
「えっ俺!?なんで!?ひどくない!?」

 俺とハルは春雲大社にいる。この世界にオーヴァードたちを集めるためのロイス、その起点として最初に捕まえたのがハルだった。前回の事変で無差別に集まってくるオーヴァードたちと一番顔を合わせていたのが彼かもしれない。巻き込んでしまったハルには悪いが、どこまで繋がっているか分からないロイスの糸を手繰り寄せるのに都合がよかったのだから仕方なかった。そしてハルにもレネゲイン集めに協力してもらいたいのは山々なのだけれど、びっくりするほど弱いことが前回発覚しているのでここで大切な仕事をしてもらうことにした。

 さて。ばら撒かれてしまった気体や液体や固体のレネゲインを集めるにはいくつか方法がある。

 一つ目の方法は、ここに装置を置いて自動回収させる方法だ。まず現実的ではない。ご家庭で大気中のアルゴンを回収して工業利用しましょうと言っているようなもので、時間がかかってとてもじゃないが手段にできない。
 二つ目の方法は、レネゲインが多く滞留している場所で回収作業をすることだ。どうやら特定の場所にレネゲインが収束しやすいことまでは調べがついている。それはもちろん、そういったものに繋がりがある場所、古い遺跡や伝説に溢れた山なんかがそうで、当然そういった場所にはレネゲインを求めた生物も集まってくる。
 三つ目の方法は、オーヴァードから取り出すこと。これが一番効率がいいのだが、生きているオーヴァードを殺さずにその生命エネルギーを回収する、なんてことができる存在は自然の理そのものくらいで――その代わり。大半の世界でジャームやEXレネゲイドは積極的に排除してよいものとされている。そこからなら、レネゲインを取り出すことが可能だ。

 今この世界に集まっているオーヴァードたちになら、それを安心して任せられる。

 さて、俺はといえば。いつもここにいて全ての作業を行えれば一番楽なのかもしれないが、時渡りには相互不干渉という面倒な縛りが課せられているせいで、堂々と手伝いをしていると消されてしまう。そもそも俺がお節介なのが悪いとはいえ裏でこそこそやるのもしんどいもんだぜ。

 「あ。ヴェスナーちゃん、ちょっと聞いておきたいんだけどさ」
 「おう」
 「キリンっていうロリっ子神様が主犯なんでしょ?ほしいもの集めるのは分かるんだけど、『要らないものまとめてポイ、飲んだあとはリサイクル』みたいなさ……ロリの発想じゃなくない?」
 「さぁ……」
 「えぇ……」





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